都知事選は小池百合子さんが圧勝でしたね。そんな小池さんの選挙戦術の一つとして話題となった小池グリーン。
この小池グリーンは人間の心理をうまく利用した戦術として使われていたのではないかと考えました。その心理とは一貫性を保とうとする人間の心理です。これが支持者を増やす効果につながったと考えました。
人間には一貫性を保とうという心理がある
一貫性を保とうという心理が働く例としてはローボールテクニックがあります。wikipediaから簡単に引用します。
「ローボール・テクニック」(特典除去法)と呼ばれる手法も「一貫性の原理」を利用している例である。
これは、悪い条件を隠しておき、顧客が購入を決定した後で条件を出すという手法である。中古車ショップなどで掲げられている金額が車体本体の価格のみで、重量税などの諸経費が含まれていないことが購入を決めた後で判っても、一度購入すると決めた後ではその決定を覆してまでキャンセルしようとはなかなか考えない。
購入を決めた後で、手違いにより在庫がないと伝えられ、ワンランク上の商品なら多少金額が上乗せになるが在庫があると伝えられると、仕方がないとして購入してしまう。
wikipediaの「一貫性の原理」より
つまり最初に決めたことは自分からつじつまを合わせて続けようとしてしまう心理が人間にはあります。
この心理が特に有効に働くのが以下の4条件が揃った時です
- 思考だけでなく行動を伴うこと
- 労力をかけたこと
- 行動や労力の成果が人から見られていること
- 自分が決めたと思っていること
例えば引用で例として使われている中古車の契約の場合では
- 安いから買おうと決める(4.自分で決めたと思っている)
- 契約書を書く(1.行動が伴っている。3.人から契約書という成果が見られる)
- さらに契約書だけでなくローンや保険などの大量の書類を書く(2.労力をかけている)
と4条件がそろっているため、条件がそろった後に値段が高くなっても契約を解除しにくくなっています。買おうと決めたことに沿って行動しようという心理、つまり一貫性を保とうという心理が働いているためです。
百合子グリーン戦術と一貫性のための4条件
では百合子グリーン戦術が迷える投票者をどう取り込むためにどのように一貫性を保つ心理を使ったのでしょうか。
例えば通りがかりに街宣車がきている場面を想定してみましょう。
今回の都知事選は話題が多かったです。その都知事選の中心でもある小池さんの街宣車が通り道に来ていれば「ちょっと聞いて行くか」ぐらいの気持ちになった人は多いはずです。
そして聞きに行くと周りには緑色のものを持ったひとたちがたくさんいます。
そうするとやはり自分も緑を持っておかないと居心地が悪くなってきます。ちなみにこれは社会的証明の原理が働いています。空気を読んだわけです。
しかし人から強制されたわけでもないので「自分から小池さんを応援した」という認識になります。(4.自分からやったと思っている)
そして緑色のものを持っていないか探します(2.労力をかける)
緑色のものがあれば出して演説を聞きます。(1.行動が伴っている)
緑色を出せば、周りからそのことを見られることになります。緑色のものを持っていれば他の人からは「小池さんの支持者だな」と認識されます(3.他の人に見られる)。
4条件を満たしました。「小池さんの支持者あるいは応援する者として一貫性を保とう」という心理が働きだします。
この一貫性を保とうという心理の強力なところは理屈が後から補強されていくことです。
例で上げた中古車の契約では安いから購入を決めたのにもかかわらず、値段が高くなっても購入をやめません。値段が高くなっても「実はこの車がいいと思っていたしな」など本当は安いから決めたはずなのに後付けの理由によって一貫性を保とうとします。
ですから、この百合子グリーン戦術によって一貫性を保とうという心理が働いた後の人々は投票日を迎えたころには小池さんを投票する理由が勝手に整っているというわけです。
終わりに
もちろん政策の内容などが投票の決め手です。確固とした理由で他のひとを支持している人にはこの戦術は効果はなかったでしょう。でも迷っている無党派層の人たちには効果があったのではないかと思います。
ゆうびんやでした。
今回の記事中にでてくる4条件はこの本に乗っています。そのほかにも面白い内容がもりだくさんです。興味のある方はAmazonのをレビューを見ていただくとおもしろさがわかりますよ。